日本遺伝学会の沿革
日本遺伝学会の前身にあたる“日本育種学会”の発起人会が1915年2月に開かれ、会則が作られた。発起人のメンバーは、安藤広太郎、伊藤悌蔵、鈴木武太郎、外山亀太郎、阿部文夫、野原茂六、田中義麿の7名であった。同年11月に第1回総会が赤坂三公堂で開かれた。1916年時点での会員数は135名であった。1920年6月に、日本育種学会の事務その他一切を受け継ぐ形で会の名称を変えて、“日本遺伝学会”が正式に成立した。なお、1920年はイギリスの遺伝学会の設立と同じ年に当たる。現在(2024年4月1日)の会員数は780名である。
1928年10月に日本遺伝学会第1回大会が九州帝国大学農学部で開かれ、その後毎年1回ずつ開催され(1945年は未開催)、2024年は第96回大会(高知)が開かれた。
出版物としては、1921年に“遺伝学雑誌”第1巻第1号が出版され、”Genes & Genetic Systems”として2020年第95巻まで冊子体として発行した。昨今のオープンアクセスジャーナル化に伴い2021年第96号よりオンラインのみとした。
初代の遺伝学会長は池野成一郎(東京帝国大学農学部教授)であり、その後、田中義麿、木原均、木村資生らが歴任し、2021年からは岩崎博史が第35代会長を務めている。また、平成29年からは公益財団法人遺伝学普及会と合流し、公益財団法人として活動している。
(公財)遺伝学普及会所属日本遺伝学会運営規則
第1条 | 所属団体としての名称は日本遺伝学会(以下本会という)と称する。 |
第2条 | 本会は遺伝に関する研究を奨め、その知識の普及を計ることを目的とする。 |
第3条 | 本会に入会しようとするものは学会ホームページから財団事務局に申し込む。 |
第4条 | 本会会員は普通会員、シニア普通会員、シニア永年会員、学生会員、教育会員、機関会員、賛助会員および名誉会員とする。ただし、年会費滞納が当該年度を超えて1年以上におよぶものは会員資格を停止する。
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第5条 | 本会は次の者を財団理事会の決議により名誉会員の称号、あるいは特別功労賞を授与することができる。 本会に功労のあった者。外国の卓越した遺伝学者。 |
第6条 | 本会はGenes & Genetic Systemsを発行する。 |
第7条 | 本会は毎年1回大会を開く。大会は総会と研究発表とに分け、総会では会務の報告、規則の改正、運営委員候補者の選挙および他の議事を行い、研究発表は普通会員、シニア普通会員、シニア永年会員、学生会員、教育会員および名誉会員がする。大会に関する世話は大会委員若干名によって行い、大会委員長は財団理事会の承認を得て会長が委嘱する。大会は臨時に開くことがある。 |
第8条 | 本会は各地に談話会をおくことができる。 |
第9条 | 本会を運営するため運営委員として会長1 名、幹事若干名、会計監査2 名の役員、および評議委員若干名をおく。以下の手順で選出された運営委員候補者および評議委員候補者は全て財団理事会の承認を得るものとする。
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第10条 | 運営委員および評議委員の任期は2カ年とする。会長および評議委員は連続三選はできない。 |
第11条 | 本会の事務年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。 |
附 則 この規定は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に定める公益法人の変更認定申請に基づいて、定款の変更が成された日から施行する。
附 則 平成29年9月12日に第5条を改正し、平成30年4月1日から施行する。
附 則 平成31年3月8日に第12条を改正し、平成31年4月1日から施行する。
附 則 令和1年9月12日に第1条、第3条、第4条、第5条、第6条、第7条、第10条を改正し、令和1年9月13日から施行する。
附 則 令和2年9月18日に第10条を改正し、令和2年9月19日から施行する。
附 則 令和4年3月31日に第3条、第6条を改正し、令和4年4月1日から施行する。
附 則 令和6年9月6日に第6条、第7条を改正し、令和6年9月7日から施行する。
会長および評議委員選挙に関するおぼえがき(令和1年9月12日改正)
- 会長および評議委員選挙にあたり、会長は選挙管理委員数名を委嘱し、選挙の管理を担当させる。
- 会長の選挙にあたっては、評議委員の投票によって候補者を3名選び、これを全会員に通知し、単記無記名投票を行い、その最多得票者を当選者とする。いずれの投票においても、同数得票者があった場合は年少順とする。
- 評議委員は全国を8地区に分け、各地区所属の会員の互選による地区評議委員と、会員の互選による全国区評議委員に分ける(ただし、選挙権、被選挙権の範囲は(6)の規定に従う)。地区評議委員の定数は各地区2名、全国区評議委員の定数は10名とする。評議委員の選挙は無記名投票とし、地区評議委員は2名連記、全国区評議委員は10名連記とする。
同一人は地区評議委員と全国区評議委員とに同時に選ばれた場合には、全国区を優先当選とし、当該地区評議委員は次点者を繰り上げる。同数得票者があった場合は年少順とする。 - 幹事は評議委員を兼任することができない。
- 任期中に会長が辞任または評議委員に欠員を生じた場合は新たに選挙は行わず前回選挙の際の次点者を繰り上げる。その任期は残任期間とする。
- 選挙当年の5月31日に普通会員あるいは学生会員であるものは、会長および評議委員の被選挙権を有する。公示日の2週間前に普通会員、シニア普通会員、シニア永年会員、学生会員であるものは、会長および評議委員に対する選挙権を有する。
- 上記以外の問題が生じたときは、選挙管理委員会で処理する。ただし、選挙管理委員会は、解散時に処理内容を会長に報告しなければならない。
附 則
令和1年9月12日 一部改正(3)、(6)
公益財団法人遺伝学普及会日本遺伝学会学会賞および奨励賞に関する規程
第1条(目的)
遺伝学の進歩を促し、すぐれた研究業績を一般に知らせるために学会賞および奨励賞を設定する。また幹事会の求めに応じ、遺伝学会が定める賞以外の賞の候補者の選定と推薦を行う。
第2条(遺伝学会が定める賞の種類)
- 日本遺伝学会木原賞
遺伝学の分野ですぐれた業績をあげた者(原則として会員)に授与する。
(註1参照) - 日本遺伝学会奨励賞
遺伝学の特定の分野ですぐれた研究を活発に行い、将来の成果が期待される会員に授与する。
第3条(遺伝学会が定める賞の内容)
- 日本遺伝学会木原賞
賞状、メダルおよび副賞としての賞金20万円からなる。(註 2参照) - 日本遺伝学会奨励賞
賞状および副賞としての賞金5万円からなる。
尚、賞状の名義(発行者)は“日本遺伝学会会長名”とする。(註 3参照)
第4条(賞の選考)
賞の存在が有益であるためには、公正適切な選考を行なうことが不可欠である。これを考慮して選考委員会の規程および選考方法を定めるものとする。
- 選考委員会
選考委員は、普通会員、シニア普通会員、シニア永年会員、学生会員を対象として評議委員会により選挙で選出された評議委員より3名、評議委員以外の会員より3名とし、これに会長を加えた7名が選考委員会を構成する。会長以外の選考委員は任期を2年とし、連続して2期(4年)をこえ選考委員としてとどまることはできない。選考委員の委員長は会長がつとめるものとする。選考委員は財団理事会の承認を得るものとする。(註 4・註 6参照) - 選考方法
会員から推薦された候補者について選考委員が慎重に審査を行い、受賞者を決定した上で評議委員会及び財団理事会の承認を得るものとする。日本遺伝学会木原賞受賞者については原則として各年1名とするが、適当な候補者がない場合は授賞は行なわないものとする。
日本遺伝学会奨励賞については各年3名以内を選ぶものとする。(註 5参照)
第5条(選考委員の選挙方法)
- 投票は2回に分けて行なう。
- 投票は、評議委員外より3名、評議委員より3名の候補者を連記する。
- 第一次投票のそれぞれ上位10名を、第二次投票の候補者とする。
- 同数得票者があった場合は年少順とする。
- 会長及び幹事には被選挙権がない。
第6条(審査の公正)
審査の公正を期する措置によって、審査に参加できない委員が生じた場合は、審査委員長(会長)は補充のため当該審査に限り新たに委員を委嘱することが出来る。選考委員の人選および審査では以下の点に留意する。
- 選考委員が学会賞または奨励賞の候補者となった場合は、いずれの審査にも加わらない。
- 選考委員は、同じ研究グループに属する候補者の審査には加わらない。
- 選考委員が学会賞、奨励賞、またはその他の賞の推薦者となった場合は、当該審査には加わらない。
(註 1) 従来の遺伝学会賞とは内容的に異なるので、この際、日本遺伝学会が世界に誇ることのでき、当学会にも絶大な功績のあった木原均名誉会員の名前をつけ、同氏を顕彰記念する意味も含めるものとする。 (註 2) 日本遺伝学会木原賞基金を設定し、メダル製作の費用および副賞20万円をこれから支出するものとする。 (註 3) 賞金は1件5万円とし会費よりまかなうものとする。 (註 4) この規程制定の基礎となった考えは次のような点である。選考委員会委員の選出は評議委員の互選とすることは必ずしも適切と考えられない。純粋に賞の選考だけを目的とする行事の最適任者を選ぶという理由で全会員から選ぶ。選考委員会設定のための投票においては散票を防ぐために二段階投票を行い、また、選考委員会の委員の過半数が現評議委員によって占められることを避けるための調整も行なうべきである。 (註 5) 選考の公正を期する上で選考委員の中から受賞者が出ることは望ましくないので、絶対避けるべきである。その他選考に当たっては、賞の授与が多くの会員から高い評価を受けるよう常に心掛けるべきで、そのためには他学会などでの選考過程で見習うべきものは取り入れ、その他有用な情報を選考委員が学ぶよう努めるべきであろう。特に日本遺伝学会木原賞は毎年必ず出すといった性格はとらず、真にふさわしいと認められる候補者の存在する時だけ授与するものとする。なお、業績の判定には候補者の発表論文を充分吟味し、さらに国際性を重視するようにScience Citation Indexなどの客観的資料をできるだけ参考にし、国内外の当該分野の著名な学者の意見も聞くことが望ましい。また、過去1、2年の発表論文の価値を早急に判断することは避ける。 (註 6) 日本遺伝学会木原賞及び奨励賞選考委員選出方法について
- 委員は、評議委員会で選出する。選挙方法は、別に定める。
附 則
昭和57年11月20日 日本遺伝学会総会承認
昭和60年10月14日 一部改正(註 2のただし以下)
昭和63年 2月 6日 一部改正(註 6)
1989年10月14日 一部改正 日本遺伝学会総会承認
1992年10月23日 一部改正(註 7)追加
2005年4月4日 一部改正(註 2)、<選挙方法> および <補足>
2009年9月17日 一部改正 日本遺伝学会総会承認
2016年5月16日 この規程は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律に定める公益法人の変更認定申請に基づいて、定款の変更が成された日から施行する。
2019年9月12日 一部改正 <選考委員会>、(註 6)
2021年11月2日 一部改正(学会賞および奨励賞に関する規程)
2022年9月16日 一部改正 第4条(賞の選考)